前回はこちら。
ターさんは、チュールだけはかろうじて少しずつ舐めることができていましたが、脱水を補うためにご自宅で点滴をしてもらっていました。
獣医のT先生のアドバイスに背中を押され、Kちゃんは酸素室も準備することにしました。
酸素マスクがついているので、酸素室に入らなくても、お顔のそばに置いて呼吸を助けてあげることができたのです。
愛するターさんが苦しんでいるのに、何もしてあげられない・・・せめて何か少しでもできることはないのか、と思わずにはいられない人間家族にとっても、酸素はお守りのような意味合いもありました。
その酸素も、間に合うかな、間に合うといいね、というタイミングでの導入でした。
それから二日程で、ターさんは食事を摂るのをやめました。
おしっこも出ていないとのことでした。
酸素も避けるようになりました。
体が自然に旅立ちへと向かっているのです。
もう何もいらない合図です。
お口でしか息が出来ないため、いつも開いていたお口から出っぱなしになっていた舌の色が変わってきました。
T先生は、壊死かな、って言いました。
Kちゃんは激しく動揺しました😢
そしてちょうどあーちゃんのブログに、タイムリーに遠隔セッションのことが出たところでしたので、緊急でセッションを申し込まれることにされました。
あーちゃんもお忙しい中ご都合をつけてくださり、ターさんがまだこの世で生きていてくれるうちにお話してもらうことが出来たのです。
Kちゃんより。
岩津さんから連絡もらいました。
たーさんの正直な気持ちを教えてもらいました。
点滴をしてるとチュールが食べられたけど、長引かせてもいて、それも限りが来た。
もう痛みの感覚はなくて、今は全力で宇宙、天のリズムに呼吸を合わせている。
外から見ると苦しそうかもしれないけど、それが大切なこと。
自然に逝きたいので酸素室も今は必要ないかも。
暖めると熱い。
体温とのギャップで火を当てられているような感覚になる。
心の準備をしてほしい。
先頭に立って見送り役をしてほしい。
泣いても良いけど、空に手を大きく振って見送ってほしい。
大空に羽ばたける。
僕は空、旦那さんは曇、Kちゃんは太陽。
僕を手放してごらん、楽になれるよ。
(何かが満ち足りていくような、秒針がカチカチする音が聞こえたそう。)
僕のお世話はおわり。
君が輝く番。
自分の人生を歩む番だよ。
こんな姿になってごめん。
でも愛してるんだ。
こんな姿になっても僕を愛して。
僕も愛してる。
Kちゃんの所に来る前からKちゃんが大好きだった。
出会ってから色んなKちゃんを見ることができて楽しかった。
大満足で帰ることができる。
いい思い出しかないよ。
僕は君の一部だよ。
あーちゃんより。
たーさんにね、呼吸を合わせてお疲れさんだったねって、お友達や仲間として雑談したの。
手つないでねそべって。
ぼくのお守りはおわりって言ってた。
逝くための呼吸があって、それを全力で自然にできると楽に逝けるんだって。
何度も僕を愛してって言ってた。
Kさんは愛してるって言われてたけど、死にゆく姿を受け入れることも愛する事みたい。
愛するって受け入れることだもんね。
お話の前に、Kさんに気遣わず正直にターさんのことを教えてほしいって言ったの。
それが今日のセッションでは必要な気がして。
点滴しなかったらもっと前に逝ってたみたいね。
あーちゃんと親方は「2人の間には愛しかないね」って話しました。
「2人は青春だね」って。
「愛のバカヤローだね」って。
あーちゃんには「僕を愛して!」って何度もターさんが言うのが印象的だったようです。
Kちゃんに、病と闘う自分、そして死にゆく自分を受け入れて欲しかったのですね。
愛する子の死を認め、受け入れるのは辛いことですけど、それでも元気な時だけが愛しい訳じゃないですもんね。
健やかなる時も、病める時も、そして死が2人を別つ時も、あの子はあの子。
何も変わらないあの子。
あーちゃんは言いました。
なめ尽くすように全部愛を受け取らないと絶対後悔するから、目をそらさず全部を受け取ってほしい。
悲しいことに見えるかもしれないけど、莫大な、いや計り知れない愛だから悲しいなんてないんだよね。
愛にフォーカスしたら、Kさんならわかるはず。
その数日後、ターさんは、お顔中から血を流しながら、お部屋をグルグル徘徊しはじめました。
苦しくって居場所が見つからないとそうなりますね。キーちゃんもそうでした。
Kちゃんには「アンラクシ」という言葉さえよぎりました。
そのくらい見守っていることが辛かったのです。
親方からは「Kちゃんがこの先どう選択しても誰も責めないけど、もし安楽死を選択するなら、自分が見ているのが辛すぎて耐えられないからじゃないと良いね。
あれだけターさんが僕を愛してと何度も言っていたなら尚のこと・・。
決断する前に、よーくよーく自問して考えたら良いと思うよ。
命に限りがあることなので、後悔してもこればっかりは取り返しつかないから。」とお伝えさせていただきました。
Kちゃんは、「ターさんが頑張って生きているのに、何も出来ずに血を流すターさんを、ただ見守るしか出来ないのが辛いからかもしれません。」と思いとどまられました。
シスもずっとターさんを支えてくれていたのですが、2人で集中してヒーリングしていると、ターさんは落ち着き、呼吸も楽になって丸まって眠ることができるようになりました。
私たちは、ただターさんにとって一番楽なように、ターさんが望む通りに、Kちゃんが辛い決断をする事態にはならないように、一番いい形でことが進みますようにと毎日祈っていました。
その後しばらくして、まるで奇跡のような、いえ奇跡以外のなにものでもない日々が訪れました。
出血やヨダレも少なくなり、なんと再びチュールを舐め出してくれて、おしっこも複数回するようになり、信じられないような穏やかな時間を過ごすことができたのです。
Kちゃんにとって、本当に最大で最高の贈り物のような日々でした。
ターさんの姿は美しく崇高で、神々しくさえありました。
そんな宝のような日々を経て、ターさんは、彼が望んだ通りに、Kちゃんの側で最高の生涯を閉じました。
その日、親方がターさんに「ありがとう!」って胸いっぱい叫んだら、ターさんもありがと〜〜!って光いっぱいで返してくれたんですよ。
あーちゃんより。
ターさんにバイバイまたね、ありがとう!って大きく手を振ったら、黄色い小さなお花の咲く原っぱで、クンクン匂いながらお散歩してるのが見えたよ!
そしたらなんとね、Kちゃんがターさんに供えたお花が、黄色いお花中心だったんですって♬
Kちゃんより。
もう頑張らなくていいよって何度も思いました。
が、旅立つ前の数日は、本当に奇跡をもらいました。
今は目も見えて呼吸も楽にできてるんだと思うと、寂しくても嬉しくてまた泣けます。
人間家族が何もサポートせずに、ただありのまま自然に見送っていたら、ものすごく壮絶な状態になるよりも、もしかしたら早く旅立てていたかもしれません。
ただ彼は若くて体力があり、体もしっかりしていたので、枯れるように旅立つことは実際難しかったと思われます。
何より、彼はKちゃんの覚悟が決まりきるまでは側にいたかったし、だからこそ信じられない強さで頑張り抜いてくれました。
迷いもあった、しんどさもあった。
だけどそんな瞬間瞬間に真摯に向かい合い続けたからこそ、奇跡の時間をいただくことができました。
まるで神様からのご褒美のようですね。
Kちゃんとターさんの青春物語はここで一旦幕を閉じますが、もうすぐまたあーちゃんの元で再会される予定です💕
愛しいよね、恋しいよね。
ありがとう、ターさん。ありがとう、Kちゃん。
**追加**
あーちゃんがターさんとの会話の模様をご自身のブログで書いてくださいました。
ゼシゼシ併せてお読みください〜。