クリスマスって、信仰を持たない方でもちょっと敬虔な気持ちになったり、ヒト様(どうぶつたちも含め)や神様へ、感謝や愛を改めて感じたり表したりしたくなりますよね。
今日はそんな時期にぴったりの興深い書籍をご紹介。
電子書籍しかないのが、アナログな眼を持つ親方には残念な限りなのですが、現代っ子の友達は「スマホで通勤中に読めるから便利」って言ってました。
その友達も「面白いし、すごいし、心に沁みた。」と言っていた書籍がこちら。
「ありがたき哉」
https://www.amazon.co.jp/ありがたき哉-私を導いた回心のことば-松丸ゆう-ebook/dp/B07K5XQTL9
目次はこちら。
1. ありがたき哉
2. 眼花(がんか)するなかれ、蓮華自らに任せよ〜LET IT BE〜
3. 左手
4. 顔(がんせ)施
5. 待て、而して、希望せよ
6. 時分の花 まことの花
7. 毬の中での生成
8. 死のことを習ってからにしてね
9. 母の説法—誰が風を見たでしょう
10. 誰がために鐘は鳴る
「回心(えしん)の言葉」ってあると、「抹香臭い」とか「難しそう」などと敬遠されるかもしれませんが、いえいえ全然大丈夫!
これがすこぶる面白い(心に響く数々のエピソード満載)。
何しろ、嫌いな男の子の隣に座っただけで、見事にそっち側の半身だけジンマシンができるという著者(笑)。
極めて人間臭くチャーミング。
無名の著者ですが、他にも面白い書籍を出されているので、一番最後にご紹介します。
その、波乱万丈とまではいかなくとも決して平凡ではない人生を歩んでこられた著者が、信仰の篤い母親(と言ってもこちらもまた全然抹香臭くない)の言葉や、小説、恩師の言葉、東日本大震災などなどから数々の気づきを得ていくのです。
著者の教養や気づきへの至り方もオォ・・・って感じなのですが、なんといっても著者の母親がキーパーソンです。
この母御のお言葉やエピソードが私には一番印象深い。
例えばこんな(なんか引用文の文字間が変な間隔になってますが、電子書籍をコピペるとそうなるらしい・・・)。
小学校の高学年か中学生 になりたての頃だったろうか、
母 はあるとき突然「 ありがたい って、 どういう こと か わかる の?」 という 質問 を ぶつけ て き た。
その頃の私 は、 何 かに つけ ての 母 の「 ありがたい」「 ありがとう」 という 感謝の言葉の強制にいささかうんざり し て い て、
そう いわ れる たび「 はい、 はい、 ありがたい、 ありがたい」 などと、 茶化す よう な こと も 多く なっ て い た。
そんな時だったの だ と 思う が、 母 に、 いつになく鋭く突っ込ま れ た のが この質問で ある。
「人に助けられたり、 なにか頂いたりしたときにお礼を言うの」と、
今 思い出しても恥ずかしいような幼い答えをしどろもどろで応えた私に、 そのとき母が放った言葉は、 私 にとって、 人生で最初の、 それまでの価値観が引っくり返った衝撃の言葉 だっ た。
「今朝お手洗いに行ったでしょ。
オシッコした? ウンチは?
毎日ちゃんとオシッコ や ウンチ が 出て、 またおなかが空いて ご飯がおいしくて、 それで、 元気に生きているのよね。
あなたはそういうことを自分で考えてしているの?
そういう風に自分で考えて生まれてきたの?」
(中略)
「何も考えてい のに、 ちゃんと体が自然 に そういうよう に 動い て いる、
それで、気持ちよく生き て いる。
そういうこと を〝 ありがたい〟 ってうのよ。
オシッコがちゃんと出て有難い、 ウンチがでて有難いということでしょ」
「あなたは息をしているでしょ?
酸素が当たり前のようにあると思って 呼吸 し て いる。
太陽 が 自然 に 照っ て 動物 や 植物 を 育て て いる、
夜 に なる と 暗く なっ て 人 も ほか の もの も 皆 休む。
そういうことは当たり前のこと と 思っ て いる でしょ。
その 大事 なことを当たり前に 与えられていることが 本当に〝 ありがたい〟 っていうこと なのよ。
そういう すべてを 自然 に与え られ、 自然 に生かさ れ て いる こと は、 本当は 当たり前のことでは ない のよ、 きっと。
それは奇跡のようなことだからありがたい。
その 有難い こと に対して 心 から「 ありがとう」と感謝しなくては いけ ない、 それ が〝 ありがたい〟 という 言葉の本当の 意味 なのよ」
自然に、 なに ごともなく生かさ れ て いる こと、 そのことは決して当たり前にあることでは ない、 奇跡のようなことなので「 有る」ことが「 難しい」のだということを 母 はこんな風に言っ た の だ。
松丸ゆう. ありがたき哉: 私を導いた回心のことば はじめ工房. Kindle 版.
あぁ・・・・っと深く感じ入りませんか。
親方はキーちゃんと共に生きて、お口からご飯を食べられること、鼻で息が吸えること、口からも息が吸えること、それがいかに当たり前でないかということを改めて思い知らされる日々でしたので、この母御の諭しの言葉は本当に響きます。
もちろん呼吸だけでない、排泄も、言葉が話せることも、耳が聴こえることも、歩けることも、全てにおいて日頃当たり前と思って忘れて生きていることを改めて感謝し、というか、生かされていることに感謝せずにはいられない日々であり、と同時に自然には食べられない方、歩けない方などなどに思いを馳せる日々でした。
その方々はその方々で与えられていることがあって、そのことに感謝をしていらっしゃるでしょう。
自分に与えられていることは奇跡の連続みたい。
このことに気づいたら、ゴーマンとかフソンなんかでいられませんわねぇ。
足りないことは数えないで与えられていることだけに感謝できていたら心は平穏。
常に平穏。
不動心。
悟りの境地じゃわ。
こんなエピソードも出てきます。
ある とき、 いつも の よう に、 また 新しい お稽古 を始めたいと 言い 出し た 私 に 母 が 答え た こと が ある。
「いい わよ、 なん でも やり たい こと を やっ て ちょうだい。
でも、 その 前 に 死のことを習ってからにしてちょうだいね」
「し の こと を 習う って…」
瞬間 どういう 意味 か わから ず ぽかんと し て いる 私 に 母 は 言っ た。
「人間 は 必ず いつか 死 を 迎える のよ。
誰でも、 どんな 偉い 人 でも、 お 金持ちでも 貧しくても、 生まれ た とき から 人 は 死 に 向かっ て 歩い て いる のよ。
だから その とき が やってき た 時 に なっ て 急 に あわて たり、 こうして おけ ば よかっ た、 ああ し て おけ ば よかっ た と 後悔 し ない よう に 生き て いか なけれ ば いけ ない の。
自分 は どう やっ て 生き て いく のか、 それ を しっかり 考える こと、 その こと が 人間 にとって 一番 大切 な こと なのよ。
その ことを習ってからならなにをし ても いい わ。
なんでも好きなお 稽古をしてちょうだい」
松丸ゆう. ありがたき哉: 私を導いた回心のことば (Kindle の位置No.1041-1042). はじめ工房. Kindle 版
親子の会話というより、お坊さんと小僧さんとか、お師匠さんと弟子の会話ですよね。
母御のわかりやすくもふか〜いお言葉は他にもいろいろ出てきますが、全部載っけるわけにはまいりませんので、ポチッてみてください。
他にも、巌窟王(モンテクリスト伯は親方の愛読書のひとつ)からの気づき、フランシス・ジャムの「三人の乙女たち」のあとがきからの気づき(親方はあとがきは読んだ記憶すら残ってない・・・汗)、
また、著者が自らの左手に、「お前は楽でいいわね」と言った後、左手の逆襲?反乱?が始まって、左手の存在に感謝することになる話など・・・・
著者の日常の中での気づきは、同じように日常を送っている(送ってきた)読者たちの気づきにも繋がるんだと思います。
世界的に名を馳せる宗教家にならなくても、マスコミに取り上げられる有名人でなくっても、こうして天の教えを常に心において日常を生きている方はたくさんいらっしゃる。
草の根に生まれた方々の中にも覚者は確実に存在していて、縁あって出会った人々にそっと気づきを伝播していく。
そういうお役目の覚者たちの背中を追いかけて行きたいものです。
最後に、晩年の母御の覚悟を現したお言葉を。
「我 今日死せよと仰せあらば潔く死すべし。 死すとも決して悔いることあらず」
背筋が伸びます。
親方も一日一生の心持ちで日々精進したいと願います。
他に著者の書かれた書籍はこちら。
https://www.amazon.co.jp/小さくして強くなった―こうしてハングリータイガーは生まれ変わった-中田-有紀子/dp/4903458059
ハマっ子が愛してやまないソウルフード、ハングリータイガーのファンに人気の一冊。
すべての経営者に読んで欲しいと思いました。
「ありがたき哉」にも出てくる角倉了以の本はこちら。
時代背景的に大河ドラマにもできそう。
追記
待望の書籍化!!↓