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ネクトンについて考えても意味がない 〜ミズクラゲとの対話

親方がいつも言ってることと同じ、と言って、友人が絲山秋子女史の本を貸してくれた。

英露仏文学や明治大正文学で時代が止まっている親方は、人様が貸してくださるのでかろうじて現代小説とのご縁ができる。

 

女史の「ネクトンについて考えても意味がない」という小説の中で、南雲咲子が瞑想中に海に降りていき、そこで出会ったミズクラゲと対話をする。

初めてミズクラゲと対話する人間と、初めて人間と対話するミズクラゲの心の交流。

深い海の中の、たった二人だけの心の交信。

たまらん世界観。

「辛い時や悲しい時に瞑想して心が穏やかになるとまた頑張ろうと思えるの」という南雲咲子に、

「僕には少し難しい、特にがんばろうというのがさっぱりわからない」とミズクラゲは思う。

人間に様々な悩みがあるらしいのは理解できても、ミズクラゲは納得できない。

なぜなら彼は、浜辺に打ち上げられて干からびる心配もしないし、網にかかって身動きが取れなくなる心配も、カワハギやウミガメに捕食される心配もしないから。

それらは単なるアクシデントであって事前に考えても仕方のないことだった。

 

病気のネコさんたちも同じようなことを言う。

病気は人生の一部。

日常の延長。

特別なことじゃない。

先を心配しないで。

 

笑うことを知らなかったミズクラゲが南雲咲子と一緒に笑う時、二人は「一緒に笑うのは楽しいね」って思う。

そしてミズクラゲは今まで味わったことのない感傷とともに、心から優しい気持ちになる。

 

気功には「笑顔功」という功がある(正式名称忘れましタ)。

親でも先生でも恋人でも、ストレスの原因になるダメダメな相手でも、その方の笑顔を思い浮かべ、その笑顔に向けて感謝を送る。

感謝功。

それだけ。

他にも、向かい合って見つめあい互いに笑うだけで治癒力が高まることも実証されている。

 

一緒に笑える誰かを与えていただいているって、それだけでものすごくありがとうだ。

一緒に笑ってくれる人は一緒に泣いてくれる人。一緒に怒ってくれる人。

辛いことがあっても、最後はまた腹筋バキバキに割れるくらい一緒に笑えば、その日も良き一日。

家に帰れば満面の笑顔の動物家族に会えるのも最高。

 

人間は影響を受けやすい。

「地味」で生きてきた南雲咲子は、ネクトンみたいにパワーのある人間を迷惑と言いながら気にしている。

ネクトンはプランクトンについて興味ないし、プランクトンはネクトンについて考えても意味がない。

なぜ他のやつから影響を受けるんだろう。

僕に関していえばネクトンから影響なんて受けないよ。

影響を受けるってことはクラゲにとっては生死に関わることだ。

(ネクトンが泳いだ後の水流に巻き込まれたら?)

ちょっとは驚く。でもどうしようもないじゃないか。元に戻ったらすぐに忘れるよ。

 ミスクラゲは今を、そして自分を生きている。

こんな心境で生きられたらいい。

 

ま、親方は自力で泳ごうとしないプランクトンではないので、分類で言えばイルカのようなネクトンですけどね。

 

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おじいちゃんはバンランコンがバンコランにしか見えないお仲間たちに最高の笑顔を送っていました

 

 

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