実は、キーちゃんがお鼻をブーブー言わせながら、ご機嫌よくお散歩をしたりお膝で甘えたりしているのと並行して起こっていたことがあります。
キーちゃんのご飯に協力を要請された翌日のこと。
キーちゃんは相変わらずご飯を食べようとすると「ウキャン」てなるので、先生にその現場を見てもらいました。
専門用語ではギャギングというようなんですけど、要は「おえっ」みたいなことですね。
そこでお口の中をご覧になった先生が、なんとなんと「ちっ!」って舌打ちされたんです!
えっ!
小さな舌打ちでしたが、親方の耳は聞き逃しませんでしたとも。
えっ!?
皆さんは神が舌打ちするところを見たことありますか?
ありませんよね?
そうです、神は舌打ちしないんです。
でも、その神が舌打ちしたんですよ!!
ぎゃー、何がおきてるのー(T T)
キーちゃんのお口の中は、硬口蓋から軟口蓋にかけて縫った箇所が開いてきてしまっていました。
もうくらくらするわ。
前回より硬口蓋の方にほんの少し長く切ったそのあたりらしいのです。
穴があいてきている為、そこからお水やチュールなどが入ってしまい、フギャンてなるみたいなんです。
い、一難去ってまた一難すぎる。
なれどとにかく進行状況を見守らないといけないため、そのままで過ごすことになり、キーちゃんのご飯は誤飲事故を防ぐため、ほんのすこーしずつなめさせることになりました。
1時間かけてチュール1本のペース。
「1本食べられましたよ!」「わー食べられた!?」って会話が繰り広げられる訳です。チュール1本でね。
多少のカロリーや造血剤は点滴で腕からも入れてもらっています。
そうして毎日お口の穴の広がりを確認する日々に突入しました。あ、親方は怖いのでお口は見ません。見るのは先生ですよ、もちろん。
とにかく、塞ぐにしてもどこまでで止まるか。
広がりが止まらないことには何にもできないのです。
毎日毎日穴は大きくなっていきました。
今後の方針としては、お口の穴の広がりが止まったらお口の穴をふさぐ手術をするんですが、この手術が果てしなく困難そうなんです。
ま、また手術スカ?
うーむ・・・一体どこまでこの悪夢は続くのでしょうか・・・
でも先生もキーちゃんを家に帰してくださろうとして必死です。
キーちゃんの穴が広がっている間も、先生はふさぐ方法をいろいろと検討してくださっていました。
口蓋裂の子をお持ちの方はご存じかもしれませんが、その穴を埋める方法で、お口や上顎などの粘膜をうすくスライスして伸ばして寄せて縫い合わせる方法があります。
それを頰粘膜フラップといいます。こわいねー、聞くだけでこわいわー。
でも、犬さんのようにほっぺにたっぷり余裕のある子には適しているが、猫さんの場合はお口の粘膜自体が少ないのでなかなか難しいこと、一般に口蓋裂の子は子猫のフラップの成功率は高いが大人猫さんは難しいことなども分かりました。
本当にいろいろと調べ検討してくださっていて、10時や11時すぎまで病院にいる親方は、先生が一日手術されて、その後にまたキーちゃんの方法を調べてくださりながら、パソコンに向かって船を漕いでいらっしゃるのも目撃したこともあります(手術ばっかりでお疲れ様ですねって言うと、きびちゃんみたいな大手術はめったにないから大丈夫っていつも笑ってらっしゃいました)。
そんな先生が、キーちゃんのように大きな穴を塞ぐのはなかなか方法がないとおっしゃり、術後の成功率の低さや手術中の大出血の危険性の話もされ、術後1ヶ月お口を縫い合わせて使えないようにする例もあるなんてことまでおっしゃる(その間は一時的に胃ろうをする)。
ホラーですよ。そんなホラーチックな相談を毎晩されましたわ。
そそそんなに大変な手術はしたくないのですが、お口に穴が空いたままで家には帰れませず、他に何がどうできるのか、もうどうしたらいいのか、いやぁ、本当にぜーんぜんわかりませんでした。
思考停止・・・してる場合じゃないけど停止しそう。
でもおかげで口蓋裂にも詳しくなりましたよ。
純血の子は生まれつき口蓋裂で生まれてきてしまう子もいるけど、しばらく気付かれず、いつも鼻がぐずぐずするなと思ったら口蓋裂だったって場合もあったり。
自然に治ったりする子も中にはいるそうですけどね。
お乳がよく吸えなくてそれがもとで死んでしまう子もいるそう。
対応する年齢が低いほど治りが早いと言われています。
口蓋裂を発症しやすい犬種もありますし(犬の方が多いみたい)、猫さんだとシャム猫に出やすいそうです。
とりあえずそんな中でも明るい?ニュース。
よーぉやくお口の穴の広がりが止まったのです。ブラボー!