さて、退院後のキーちゃんとの生活は、気管切開したところの朝晩の消毒とガーゼ交換、そして1日2〜3回のネブライザー。
首に巻いている包帯は人間の伸縮性のある簡易包帯ですが、これがすぐ伸びちゃうしほつれてきちゃうんです。
しかも舐める時舌に引っ掛けて余計ほつれるし、切っても切ってもほつれてくるから舌に絡まってアブナイんですよ。
ましてや留守中、万一伸びた包帯がどこかに引っかかったら一大事!
それにかゆくて足で掻いちゃうと、縫ってある傷が開いちゃうので大変なんです。
患部がちょうど首なので、エリザベスカラーはできません。
で、何が一番良いのか、暑苦しいけどガーゼを巻いたり、いろいろ工夫しましたね。とにかく留守中が心配で神経使いました。
抜糸まで1週間から10日くらいと言われましたが、抜糸はY主治医が担当してくださいます。それまで消毒してキーちゃんを守らねば。
それから、欠かせなくなったのはネブライザーです。
キーちゃんのお鼻の中は、猫さんの複雑な網目構造の鼻甲介がなくなっちゃったので、Y主治医いわく「がらんどう」です。
猫さんはそのメッシュ構造によって、外部からの菌や異物の侵入を防いでいますし、鼻甲介がひだひだなのって粘膜の表面積を広げるためなのですが、つまりキーちゃんは網目ガードもなければ粘膜自体も少なくなっちゃんたんで、異物から侵入されやすくなっちゃった訳ですし、お鼻が乾きやすくなっちゃったんです。
でもY主治医に言われました。
動物ってほんとに強くって、事故や病気で鼻そのものがなくなってもちゃんと生きてる子知ってるし、すぐ順応して平気に暮らせるもんですよって。
人間なら鼻がなかったら恥ずかしくて外に出られないとか思っちゃうかもしれませんが、彼らは自分に鼻がないからって「足りない」なんて思わないもんね。
彼らはいつだってその状態がパーフェクトだってわかっているんです。格好いいね。
昔うちにいたミギちゃんも、足が一本なくなってもパーフェクトに生きてましたしね。
さて話戻しまして、
キーちゃんの場合は、さらに副鼻腔炎の貯まった鼻水もどんどん溶かして出しちゃわないといけなくなりました。
そこで活躍するのがネブライザーです。
このネブライザーで粘膜を潤してあげるとともに、異物を洗い流したり、あるいはくしゃみを起こさせたりしてキーちゃんの体を守るんです。
異物が肺にそのまま入っちゃうと肺炎になりますからね。
キーちゃんには欠かせないものとなりました。
鼻炎の猫さんは湿度が高ければ高いほどいいそうですので、普通の鼻炎の猫さんにもとってもおすすめアイテムなんです。
ネブライザーについて(先生から抜粋で引用)
おもに上気道・下気道の炎症や感染を治療するために使 用されます。喘息や慢性気管支炎などの気道閉塞病変にも 使用されます。また、気道内を加湿し、粘液繊毛系の働き を助け、停滞して粘稠となった粘液を流動化し、気道内クリアランスの維持や改善を促します。ヒトでは、ネブライ ザー療法は、悪化してからの治療法ということではなく、 どちらかというと悪化を防ぐための予防的処置として副鼻 腔手術の術後管理(二次感染防止)でエビデンスがありま す。また、気道感染リスクのある気管支拡張症などの慢性呼吸器疾患の長期管理においても安全性と有効性のエビ デンスがあります。
長所
少量で、気道の標的部位に高濃度の薬剤を直接到達させ ることができるので、全身性の副作用が非常に少なくなります。そのため、薬剤の血清中濃度がごくわずかであるに もかかわらず、気道内で十分な殺菌作用や抗炎症作用が発揮されます。
抗菌薬を安全に投与できる
抗菌薬を使用したネブライザー療法での血清中の薬物濃度は非常に低いため、腎毒性や聴覚障害の報告はありません。
服薬の種類によっては副作用が出てしまうキーちゃんには、服用薬の摂取と違ってとても安心でした。
ただ、そのことがネブライザーの問題点ともなり、「薬剤の投与量とその効果を予測できない」ともあります。
また、上気道には有効でも下気道には沈着率が低くなる、とか、ネブライザーの適用が有効でない疾患もあるそうですので、試されたい方は精通されている先生にご相談されるのが良いですね。
それから、ネブライザーを扱うには衛生管理に注意が必要です。
ネブライザーが汚染されるとそれ自身が感染源になってしまうので、院内管理もそうですが、患者さんへの教育が不十分な先生は怪しんだ方が良いかと思います。
使用するたびに分解、洗浄、消毒が必須です。もし都度消毒できなくても、最低でも週に一回はミルトンでの長い消毒も指導されました。
(1日に2〜3回ともなると、1日のうちでネブライザーに関わる時間は結構なものです(笑))。
ネブライザー療法を行うにあたって最も利点に感じることは、侵襲が少なく、動物たちがいつも心地よさそうにしているという点です。
ネブライザーの自宅での使用法をネットで調べたことのある方はお分かりでしょうが、だいたいの方が衣装ケースを工夫していらっしゃるように思われます。
親方も当然衣装ケースでした。
でもでも、その多くの方が空気穴以外は割と密閉空間に近い形で使っていますが、実はそれは間違っているそうです。
S専門医がネブライザーをする場所は、普通の入院個室よりも倍くらいは大きい場所で、ドアは格子のオリ。そこにバスタオルをかけて、その中でネブライザーをかけました。そのタオルもわざと端を少し開けてます。
つまり、ドアは全然密閉されていないのです。ネブライザーの蒸気はそこからだだ漏れていっていいのです。むしろそのくらいの隙間がないとだめだそうです。
ここ、結構間違えている方が多いようにお見受け。
親方の使うネブライザーはこちら。
https://www.amazon.co.jp/新鋭工業-超音波ネブライザー-コンフォートオアシス-KU-200/dp/B006028PB8
生理食塩水(病院で買えます)に、処方されたお薬三種類(+後から追加でステロイドも出ました)を指定通り垂らし、キーちゃんにネブります。
初期のネブり室。
衣装ケースの上に、100均のワイヤーネットで蓋をし、布で大まかに覆い、ホースをワイヤーネットの穴から差し込む。
でもこれだとキーちゃんが15分かがんでないとなりません。
なので、その後浅い衣装ケースももう一個買って、その底の方を蓋にして高さを出しました。
蓋を斜めに結構開けて蒸気抜きの隙間にし、そこにホースを突っ込んでました。
蒸気は下に溜まるので、ホースを上の方で止めてみたり、効率よくキーちゃんのお鼻に薬液の蒸気が入るように親方が持ってお鼻を狙ったりと、使いながらいろいろ工夫しましたね。
もちろんキーちゃんは、最初のうちは出られるタイミングを虎視眈々と狙っていいましたし、ちょっとその場を離れたらいつの間にかキーちゃんが後ろにいたこともありました(笑)
でもそのうち気持ち良くなったのか、何よりもこれが自分に必要なんだとわかって、いつもいい子ちゃんしてましたよ。
側についている親方は、不必要な薬液を毎回吸わされて病気になるかと思いましたけどね(笑)
薬の副作用↓