時は8月頭。
ひと月ちょっとの間に三度目の全身麻酔です。全身麻酔のダメージってとても大きいので、良い子は決して真似してはなりませぬ。
キーちゃんのレーザー治療は、相当痛いであろうこと、人なら片鼻の片面ずつ焼くくらいのものを、一気に両鼻全方位焼くことになることを説明されました。
なんときつい・・・
でも窒息との戦いなんで、先生も親方もキーちゃんも必死です。
そして処置が無事終了しました。
先生としては会心の出来くらいの成功。両鼻全部焼き切れたのでお鼻の空間は開きました、と。電話の向こうでガッツポーズが見えるくらい。なんとも嬉しい報でしたね。
ただ、数日は鼻血も出るし、痛みとの闘い。麻酔が切れたあとは鎮痛剤もないということで、その時期を頑張ってもらうしかないのですが、帰宅時のキーちゃんは、麻酔が効いていたので、かなり元気でした。
親方も、両鼻のポリープが綺麗になくなったことに安堵し、少し一息ついたのですが、それもつかの間でした。
麻酔が切れた頃から、キーちゃんは相当苦しそうでした。
真夏ですしね、普通の猫でも暑くてへばります。でも冷房嫌がるのであまりつけられないし。
お口ずっと開いたまま、本当にしんどそうでしたね。
最初の日は、トイレ以外は押入れの天袋からほとんど下りてきませんでした。
2日目くらいから、少しだけご飯を食べるようにはなりましたが、ほとんど食事もお水も取れない状況(それでも、食べてくれただけどんなに安心したか)。
何と言ってもショックだったのは、綺麗に穴の空いたキーちゃんのお鼻に・・・翌日にはもうポリープが見えたことです。
これは相当の大打撃でした。
親方がえずきそう。
その数日後からお盆休みだったので、キーちゃんの看病週間に入りました。
この週は、キーちゃんは本当は旅立つところだったと思います。
朝な夕なの、親方のみならず皆さんがしてくださったお祈りが、キーちゃんの命を永らえさせてくれたと思っております。
キーちゃんは具合が悪すぎて、居ても立っても居られない、という感じでした。
場所を変えながらなんとか楽になろうとしていました。
ゴボゴボって鼻血が出ると、併せて耳からも血が出るようになりました。
耳の血は気になるので、キーちゃんは始終耳を振ります。家中血だらけです。
親方も始終キーちゃんの鼻血やら耳血やら鼻水やら膿やら涙やらを拭いて周り、ずっとキーちゃんを見守り、二人とも夜も寝られなかったですね。
写真、痛々しいけど、お見せできるレベルのものを載せているつもり(笑)
お鼻だけはレーザーの影響でまだ腫れちゃっていますが、その他はやせこけちゃってますね。
でもレーザー前のようにはえずかなくなったんですよ。
キーちゃんはろくな食事も取れていなかったので、もう瀕死です。息も絶え絶えに寝ていました。
今ならちゅ〜るの総合栄養食版とか、栄養強化版が出ていますけど、その頃はなかったので、普通のちゅ〜るをお口につけて無理やり舐めさせましたが、イヤイヤするばかりでした。
親方は、毎日キーちゃんが逝ってしまうことの覚悟をしました。
いつでもキーちゃんのタイミングでいいと思いました。もう病院も行かないでいいと思いました。
毎日思いの丈をキーちゃんに伝えてました。
そうして、夏休みを看病に費やしているうちに、ある日を境に少しずつキーちゃんが気力を取り戻したように見えました。
「もうキーちゃんに踏まれることもないんだな」って思ったら、キーちゃんてば、体の上を踏んで通り過ぎてくれましたよ! 律儀な男!
大好きな窓辺に行って、外を見ることもするようになりました。
キーちゃんが寝ている顔の前に髪ゴムを転がしたら、よろよろっと手を出して、ちょんちょんって触ってくれました!
そんなある朝、いつものようにチュールを無理矢理お口につけたら、キーちゃんはなんと自分で舐めてくれたんです!!!
この子は生きようとしている!!!!
生きてくれる!!!!
希望が生まれました。
そして急いで先生のところに点滴に連れて行きました。
先生は耳からも血が出ちゃったこともびっくりしていました(耳血は幸いなことに減少傾向にあり、この後止まってくれました)。
鼻の方の血が耳から出るとしたら、鼓膜が破れてしまっていると。
キーちゃんは両耳から血を出していましたけど、特に出血がひどい右耳も聞こえているようだったんですよねー。そっちで音したら振り向いたし。
先生も不思議がっていましたけどね。
それから、先生も、ポリープの再生のあまりの速さに衝撃を受けられました。
そしてこの先、家庭用の酸素室をレンタルすることも考えて、と言われ、酸素室の資料も用意してくださいました。
お高っ。
いや、お金の問題ではありませんけど。
皮下点滴は、その中に栄養を入れると中で腐っちゃうから、栄養補給はできないけど、水分補給のために通うことになりました。
キーちゃんは、シーバの子猫用のカリカリを数粒ずつ食べていました(キーちゃんの食欲がなくなってきてからは、高栄養の子猫用のカリカリを用意していました。それにしても、どうやって生きたのよってくらい、食事を満足に取れない一ヶ月、ホントよく生きてくれました。生命力の塊のような男です)。
あとは、ダメ元でステロイドの塗り薬をもらいました。効くかどうかわからないけど、出ているポリープに塗ってみることになったんです。
そして、これ以上できることはない。何かできることを探ろうとするのは、飼い主が楽になりたいからだけだ、とまで言われました。
そ、そんな(涙)
先生のところからトボトボと帰宅し、キーちゃんが瀕死から復活してくれたことの喜びや希望と、その後に直面した現実の難関との狭間で、ぼんやりしていたところ・・・
なんと先生から電話がかかってきたのです!