猫のお鼻問題は、検査も治療も本当に難しいのです。
なぜなら。
という訳です。あら手抜き?
では、かいつまんで書きますと、
1、猫の鼻はとても小さいので、専用の器具が街の獣医さんにはない。
2、お鼻のレントゲンを撮るには、鎮静か麻酔をかける(動いちゃうとちゃんとした写真が取れないため)。
鎮静にしても前夜からの絶食は必須なので、すぐには撮れないし、そこまでするのはためらう患者様も多い。
3、猫の鼻の構造は複雑で、中に鼻甲介と言われるヒダヒダがみっちり詰まっている。
そのおかげでウィルスなどの異物が入りにくいが、入ったら最後、なかなか出られなくなり、慢性鼻炎となる。
4、悪性腫瘍ができた場合、そのヒダヒダにみっちりべったり絡みついた状態になり、手術が難しい。
などの理由です。
キーちゃんの場合は、ヒダヒダ自体が腫瘍化(ポリープ化)するという一種の奇形(過誤腫)でもあり、そのポリープを一つ一つ引き抜くという根気のいる作業が必要でしたが、それも専門医でないと、しかもかなりの特化された専門医でないと、診断する知識すらないのが現実。
そんなこんなで、まずしつこい鼻づまりは、最初に鼻炎と診断され、ハナ薬(笑)をもらって「様子みてくださいね〜」ってお茶を濁される?のが通例。
鼻血が出ても、最初のうちは、慢性鼻炎で粘膜の炎症ですと言われてしまうことも多い。
慢性鼻炎です慢性鼻炎ですと言われたままで、だんだん鼻づまりが悪化し、実は腫瘍でした、あるいは腫瘍化してました、っていうパターン、結構多い印象です。
実際、できものがあると鼻汁や鼻血が外に出にくいこともあって、副鼻腔炎も併発しているので、余計慢性鼻炎と思われがちだと思います。
鼻血が続く、鼻づまりがひどい、そんな時は、若くて元気なうちに早めに検査するのも一つの手段かな。
ただ、元気なうちにわざわざ全身麻酔をかけてCTを撮りに行く勇気ってなかなかないと思うので、結局は悪化してからの発見となるんですよね。
もちろん、うちの子は腫瘍ができても積極的な治療はしないと決めいている方は特に早めに対応する必要はないと思いますが、早めに発見したら早めにアプローチ(積極的な治療でなくても自然療法、代替医療などもあります)ができるとお考えの方は、麻酔に耐えられるうち・初期の段階・できものがあっても良性の段階、などで見極めるために、鼻づまりの悪化や鼻血が出始めた時点で、一度CTを撮ってもらうのもありですね。
主治医が慢性鼻炎で押す先生の場合、セカンド、サードオピニオンを求めに行ったらいいですよ。
結果はどうあれ、病名を知りたい、どこまで広がっているかを知りたい、そういう場合も、とにかくお鼻はまずCTを勧められるでしょう。
ただ、お鼻は脳が近い。
悪性の場合、眉間の裏にしても後鼻腔の上にしても、一枚隔てた先には脳が隣接しているので、脳への転移や浸潤もしやすいので、お医者さんに必要ないと言われても、MRIも一緒に撮ってもらえるところを選ぶのを推奨いたします。
全身麻酔が一度で済むのでね。
いくつかに分けて書こうと思いましたが(多分この先も分けて書きますが)、とりあえず一度にいろいろな情報を書いておきますと、
以前もお伝えしました通り、片側の腫瘍はまずできものを疑ってください。
片側の鼻血は、猫さんのお鼻の真ん中の隔て(鼻中隔)の片側で腫瘍ができていることが多いです。
両側から鼻血が出ている場合も、すでに鼻中隔を溶かして破ってもう一方にもできものがあるか、あるいはすでにお鼻の裏側(後鼻腔)咽頭方面に腫瘍が落ちているか、もしくは鼻中隔より上のあたりでできている可能性もあります。
怖くない良性のポリープでは、若いオス猫に多くみられる「鼻咽頭ポリープ」があります。
これは切除すれば大丈夫ですので、専門医や大学病院、医療センターなどに主治医からリファーしてもらうと良いですよ。