病院では診察待ちの順番をかいくぐってお部屋に案内され、先生がいらっしゃるのをしばらく待っていたのですが、キーちゃんと待っていた日々のことが思い出されて、涙をこらえるのが大変でしたワ。
キーちゃんが親方のライトダウンにくるまって待っていたことや、棚をウロウロ動き回っていたこと、出がけはあんなに入りたくないキャリーの中に帰りはそそくさと入ること、麻酔なしでレーザーをかけられた日、様々なシーンが蘇ります。
診察室はいくつかあるのですが、その日に通された診察室は窓のある部屋で、その窓越しにサバトラの子猫を発見した日のことも思い出されました。
その子猫はキーちゃんの子猫時代とは違って「The!子猫!」ってくらいそれはそれは可愛い顔で(笑)、窓越しの親方に向かってコロンコロンして見せては、人の気配がするとどこかに隠れて行って、また戻って来ては愛嬌を振りまいていました。
あまりに可愛いし、子猫なのでなんとかしないといけませんが、うちは闘病の佳境??でそれどころではなく、かつキーちゃんは白血病キャリアなので・・・いろいろと無理です。
んーーと思いながら見守っていると、キーちゃんが子猫に気づきました。
「おや?」ってしばし覗き込んで、あとは一切興味なし、歯牙にもかけずって風情で、ワロタわ。
先生が来てから、「先生、ほれほれ子猫が」って促すと、先生はいつもの調子で「本当だー。」って。
「誰か置いてっちゃったんじゃないといいけど・・・」と心配されていました。
先生はそんな猫ちゃん達を次々お家に引き取られたのです。
で、つまるところその後を病院にお任せしたのでした。
そんなことも思い出されて・・・涙がこぼれないように上を向いて待っていたら、先生登場。
Y主治医の病院はいつも凄まじく混んでいるので、親方はあんまりお時間をお取りしてはいけないと思い、そそくさとご挨拶する予定だったのですが、先生がゆっくりお話ししましょうと随分お時間を割いて下さいました。
「しかし、本当ににっくきやつでしたねー」とキーちゃんのポリープのことについておっしゃいました。
専門医にも「悪魔のようだった」と形容されましたが、実は親方自身は一度もそう思ったことはありませんでした。
だって、そもそもキーちゃんの鼻甲介ですよ。
言われるたびに、「ポリープもキーちゃんですから」って言ってました(笑)。
キーちゃんのことなら病気も丸ごと愛せたのです。
「闘病」という言葉を使っては来ましたが、病と共に生きた「共病」であったとも思っています。
最後の受診日、先生には本当にいつも通りのキーちゃんに見えたそうです。
ですので訃報には心から驚いたそうでした。
「でも親方さんがあれだけ心配していたので、家ではかなり辛い状況だったんでしょうね」。
そして、メールでも書かれていた通り、もう治療に耐える体力がなかったってことでしょうとおっしゃいました。
先生は、ご自分に対してもそう言い聞かせているようでもありました。
そして、「でもきびちゃんは、きびちゃんとしての尊厳を保ったままいけて良かったと思います」と仰いました。
何度も書いて来ましたが、窒息で亡くなることはそれはそれは耐え難い状況だからです。
先生、気に病まないで大丈夫ですよ、キーちゃんと私、先生の治療のせいだなんて思いませんから。
キーちゃんはお家に帰るために平気なふりをしたんですから。
葬儀の業者が必要であれば紹介しますよと言われましたが、本日火葬したことを伝えると、胃ろうのチューブはそのままで良かったのか?焼け残らなかったのか?とか興味津々。
病院だと死後に外すみたいですね。
チューブはついてていいって言われましたので、一緒に燃えてなくなりました。
そしてS専門医と同様「きびちゃんには随分勉強させてもらいました」と仰いました。
「炎症性鼻甲介ポリープ」という未知なる病気はもちろんのこと、骨腫のある猫も初めてだったとおっしゃっていました。
キーちゃんにより導入されたネブライザーの有用性とか、そもそもキーちゃんはどうやって親方の家に来たの?って話とか、いろんな思い出話もして、先生のお家の猫ちゃんズの話にもなりました。
先生のお家の猫ちゃんズは、病院の前ではねられた子とか猫エイズちゃんの子とか、獣医さんご夫婦なので放って置けない野良ちゃん総勢4匹、みんな順調に高齢化して来ていることや、家の子は特別なことは一切していなくて、健康診断とかもしてないとおっしゃったかな(まあお家でわかることも多いでしょうからね)、フツーにスーパーのカリカリをあげているとおっしゃっていました。
で、キーちゃんの残りのプレミアムフード(未開封)は、無事先生にもらっていただくことになりました。開封してあるのもいいですよ〜と言われたんですが、まあそれはやはりご遠慮申し上げまして。
先生との面談を終えて診察室を出た時、ベテランの看護師さんがそっと寄ってこられて「ほんッッッッッとうに驚きました」とお悔やみを述べてくださいました。
病院中でまさかの訃報だったそうです。
そのくらい、キーちゃんはあの日毅然として穏やかだったんです。
その後、病院から届けられたお花です。
お花がこれほどまでに人の心を慰めるものかと、ここまで感じたのは初めてです。
このお花の温かさは生涯忘れません。
余談ですが、お花贈られるとお詫びだと思う患者さんがいるそうです。
医療ミスがあったからだと疑う患者さんがいるそうで、先生は「全員に贈ってるんですよ」って言い訳?されてましたが、先生、そんなに気に病まないで大丈夫ですって〜。
ちなみに骨壷にはキーちゃんのお洋服を着せています。
キーちゃんが痩せっぽちの時用に買ったサイズの小さなもので、一度も着なかったんですが、これがまた骨壷カバーにピッタンコだったんです。
なんちゅう可愛さ(骨壺が・笑)。
穏やかで毅然としたエネルギー↓